SNSやマッチングアプリで知り合った相手と、3ヶ月間やり取りを続けてきたとします。
毎日連絡があり、近況を聞いてくれる。仕事のことや悩みも打ち明けてくれた。
プロフィール写真は知的で誠実な印象。住まいや仕事の話も具体的だった。
そのような相手から、ある日こう言われました。
●少額の罠
「実は、いい投資の話があって
自分はもう始めているんだけど、あなたにも教えたかった。少額から試せるから」
この時点で、多くの方が疑いを持てません。
「この人が勧めるなら」という感情が、内容の判断より先に動くためです。
ロマンス詐欺、という言葉はご存知かと思います。
「なんで騙されちゃうんだろうね」とニュースを見て思いますよね。
でも、騙されてしまう巧妙な心理作戦が隠れています。
ロマンス詐欺は「時間を武器」にし、判断を鈍らせます。
改めてになりますが、詐欺の目的は騙すことです。
信頼関係をつくって、信頼を寄せてもらう。
自分は信頼できる人間だと信じてもらうための丁寧な時間。
毎日の連絡、共感を示す言葉、「あなただから話した」という特別感——
これらはすべて、後の要求を断りにくくするための準備です。
詐欺師は複数の相手に対して同時にこれを行っており、組織的に運営されているケースもあります。
3ヶ月の関係は、本人にとっては本物の体験です。
しかし相手にとっては、最初から計画された過程です。
●「惜しい」という感情が判断を鈍らせる
金銭の要求が始まったとき、多くの人がすぐには断れません。
「これまでの関係を壊したくない」「疑うのは失礼かもしれない」
「もしかしたら本当に信頼できる人かもしれない」——こうした感情が湧きます。
また、一度お金を送ってしまうと「損を取り返したい」「信じたい」という気持ちから、
さらに追加の要求に応じてしまうことがあります。
これを心理学では「サンクコスト効果」と呼びます。
費やした時間・感情・お金が大きいほど、「やめる」という決断が難しくなるのです。
詐欺師はこの効果も計算に入れています。
最初の要求を小さくして応じさせ、徐々に金額を上げていく手口はその典型です。
●断ると「態度が変わる」
ロマンス詐欺の特徴的なパターンとして、断ったときの反応があります。
「信用してくれないの?」「こんなに話してきたのに」——感情的な言葉で責めてくる。
あるいは一時的に連絡が途絶え、相手を心配させてから再接触してくる。
「断ったら態度が変わった」という変化自体が、詐欺を見分けるサインの一つです。
本物の関係であれば、断られたことに対してこうした反応は起きません。
今まで「いい人」だったのに自分が断ったから関係性が壊れた。
悪いことをした、関係性を続けたい。
その「関係への惜しさ」が一番危ないと思ってください。
●確認ポイント
・一度も会ったことがない。
顔が映ることを避けるためにカメラ越しの対話も避ける
・プロフィールが理想的すぎる
高収入、知的職業。誠実な性格、趣味。
印象を操作するために作りこまれてる可能性があります。
・話題が「お金」に寄って行く
世間話や悩み相談だったのに、お金を絡めてくる。
どれほど自然な流れだったとしても、お金の話がでたら、まずは立ち止まる。
・「あなただけ」の特別感は、判断を狂わせる
だれしも特別な扱いは気持ちがいいものです。
それを利用されている、という疑いを持ちましょう。
SNSやアプリで知り合った相手から投資や金銭の話が出てきた場合は、
それまでの関係の深さに関わらず、信頼できる人
——家族、友人、あるいはしごと場のような場所に相談してください。
「こういう人と知り合って、こういう話が来ているんだけど」
第三者の視点が、冷静な判断を取り戻す助けになります。